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【読書】奴隷の哲学者エピクテトス人生の授業

今回萩野弘之さん(著)・かおり&ゆかりさん(漫画)の本を紹介します。

『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』

――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために

 

この本は、人生を見つめ直すきっかけ、そして困難や課題を解消する糸口を与えてくれます。仕事や日常で悩みを抱えている人には特におすすめな本となります。

 

本書の漫画の中では奴隷のおじいさんが登場し、同じ奴隷のニウス君をいろいろと諭してくれるのですが、

このおじいさんはエピクテトスといい、後のローマ時代のストア派を代表する哲学者です。

エピクテトスは両親が奴隷だったので、自身も若い頃は奴隷として過ごします。

ストア哲学(ストイック)とは実践的な禁欲主義の代名詞であるが、ストア派とは生き方のスタイルに集約されています。

ストア派の基本戦略は、自分の裁量の範囲内にある物事にだけ、自分の欲望の対象を限定することにあります。

これがストイック、つまり禁欲になります。

自分がコントロールできないものに欲求を向けてはいけないのです。

エピクテトスはそれが幸福への近道としています。

 

そうか...君は【区別】ができていないのじゃな

自分の力の及ぶ【我々次第であるもの】【そうでないもの】との区別じゃよ

わしは自分でどうにかできるものには力を注ぐが

どうにもできないものは放っておくのじゃよ

(奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 P.6, 7より)

 

他人に何かを望むなら思い通りにならずに悩み苦しみ

どんどん不幸になってしまうじゃろ

他人であるものは他人のものであって君のものではないのじゃよ

(奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 P.37より)

 

他人に何かを望むのは、馬鹿のすることと本書では述べられています。

自分でどうにかできることと、自分ではどうしようもないことを混同しているからです。

自分にできないことを願ったところで、その願いが叶うはずはないからです。

自らができることに励むこと、これが気持ちを楽にする上で重要です。

 

例えば、態度の悪い同僚を変えることはできないが、自分がその同僚に接する態度は変えることができるのです。

 

ニウスよ

君の行動は君のものではないのかね?

行動は自分で考え自分で選択し行うものじゃろ?

だが君は今 他人が考え他人が選択肢したものに従い行動している...

君は自分のものを他人に預けてよいのか?

自分が正しいと思うその意思にただ従えばよいのじゃよ

(奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 P.51より)

 

「正しくない」と騒ぎ立てる者どもをなぜ恐れる必要があるのか。

他人の目や評価にこだわりすぎると、自分が進むべき道を見失うこともあり得えます。

周りに評価されたいから仕事で〜する、プライベートが充実していると思われたいから休日に〜をするとか、

自分でも気づかないうちに視点が他人になっていないだろうか。

でも他人がどう思うかは自分にはどうしようもできないことであり、

他人の評価の中で生きることは、思い通りに動けない泥沼でもがき苦しむようなものです。

自分自身の意思の中で生きること、これが自分の道を見失わない上で胸にとめておくことになります。

 

本書の教えはまだまだ続きますが、このように序盤からかなり気持ちが楽になる教えが詰まっています。

 

ここでエピクテトスの名言のひとつを英語で紹介します。

Some things are in our control and others not. Things in our control are opinion, pursuit, desire, aversion, and, in a word, whatever are our own actions. Things not in our control are body, property, reputation, command, and, in one word, whatever are not our actions. The things in our control are by nature free, unrestrained, unhindered.

物事のうちには我々次第であるものと我々次第でないものとの両者がある。判断、意欲、欲望と忌避など、およそ我々の働きによるものは我々次第だが、自分の身体や財産、他人からの評判、地位官職など、およそ我々の働きによらないものは我々次第ではない。我々次第であるものは本来、自由で、妨げられないし、他人から邪魔されない。